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-起業を考える女性へのメッセージ-女性起業家インタビュー-No.10

福岡のスーパーで買い物をすれば、きっとお世話になっている食品。こんにゃくやめかぶなど私たちの食卓の身近な食べ物の製造を行っている中川食品株式会社で専務取締役を務める安達さん。

創業者であるお父様の意思を継いで、100年企業を目指されています。

父の思いを継ぎ、ご主人と共に代表として、互いの役割を担って経営をしていく、その思いとは-

ミッションは、

「~継続は力なり~“ありがとう”と“笑顔”を与える人に」

⸻ 「感謝の気持ち」を持つ事です。

我が社の経営理念は「感謝の心を食卓へ」です。

感謝の気持ちを忘れないようにしています。普段から「感謝の気持ち」を持つようにしていて、それは社長も私も実践していることです。

経営においては人・モノ・金が大切と言われおりますが、その中でも働きやすい場所を提供することは大切だと思います。より良い作業環境で、よい良い設備にしてあげないと、と思っています。

人がいないと何も出来ません。たとえば、何かを改善しようと思っても、余力がないと改善出来ません。

改善し続ける事は大切です。改善しないと、時代から取り残されて衰退してしまいます。

人を育てる事も大事。採用し続ける事も大事。社員にしっかり給料を払うために、無駄なお金を使わない、補助金を活用するなど、工夫していく事も大事だと思います。

先代は会社を作ってくれました。でも、制度や仕組みが不十分だと思っていました。中身を充実させる必要があると思いました。

父が生きてきた軌跡を後世に残していきたいと思います。そして、自分が生きていることを意味あるものにしていきたいです。

語り継ぐ人もいないから、何か残さないと、という思いです。

⸻ この会社は先代である父がゼロから作った会社です。

学校にもあまり行けず、生活の為に始めた商売が大きくなって社員が増えていきました。そこには劣等感もあったように感じます。

こんにゃく作りは当時はいわゆる3Kの環境で、設備投資もいるし、他にやる人がいないだろうから商売になるだろうと。まずは、会社を立ち上げるために、こんにゃく屋さんに丁稚奉公に行ったそうです。

その後独立し、そこから当社は始まりました。私は、3人姉妹の長女ですが、家業は子どもが継ぐものだとずっと教えられて育ってきました。祖母からも父からも言われていました。現在の社長である主人と結婚をして、当時主人が勤めていた会社の勤務地に付いて行きました。

何年かした後、父から「体調が悪いから帰ってきて!」と言われました。慌てて帰ったら、元気な父の姿がありました。父のついた嘘にまんまと騙された私たちは、仕事を辞めて中川食品へ入る事になりました。1999年の事でした。

そんな父からは、子どもの事も良く言われました。子どもを産んで欲しい、継いでほしいと言われて。

自分の体力は無くなっていくから、身の回りのことを手伝って欲しいというのがあったのかなと思います。父からも母からも、子どもを生む事が私の仕事と言われていました。28歳で不妊治療を始めて、35歳まで続けましたが、結果的に子どもは出来ず、治療を断念しました。

その決断は、当時はとても苦しかったですね。

会社の中で、私はとにかく仕事をするようにしました。最初に与えられた仕事が父の部屋の掃除から契約書の整理、その次は事務所の仕事を覚えるようにと言われました。総務・経理の仕事から覚えました。

「継ぎたい」という思いより、これは自分の宿命だと思っていました。家族の事が好きだったし、「やらないと」と思っていました。大きな工場や機械に圧倒され、もう無理!とも思いましたが、私が生まれて来た意味は、これをやらないと生きてる意味がないなと感じました。

今では会社が愛おしいと感じます。また、会社がよりよく変わっていくのを嬉しく感じます。

私は3姉妹だったので、(私が)男だったらよかったのにとも言われました。自分が認められたいのは、そんな生い立ちもあるかもしれませんね。

社員に対しても、承認してあげたいと思います。

一緒に経営をしてくれている主人には本当に感謝ですし、大事にしたいという気持ちがあります。

家では仕事の話はしませんが、得意な事を分担しながら互いに補完し合う、良きパートナーだと思っています。

⸻ 父の起業した会社を継いだので、正確には起業ではありませんが・・・

躊躇は無かったです。

何かしらやるものだと思っていました。

不思議と大人になってからは、父は継いでほしいとは言いませんでした。

私も継ぎたいとは言いませんでした。 

⸻ 当初も今も苦しいです。

特に人が辞める時は苦しいです。

目指すところが違ってしまうのか、当初は同じ方向を向いていても、時間が経って目指す方向が違ってしまうのは苦しいですね。体の一部を失うような感覚はあります。

思いが正しく伝わっていないのかな、とか後悔する事も多いですし、

あの時にこうしておけばよかった、という気持ちになります。

⸻社長になったのは5年前です。

先代が病気で退任したのをきっかけに、私と主人の代表2名でやっています。

先代は、こんにゃくを作る機械にはお金を惜しまない人でしたが、建物などそれ以外のものには極力お金を使わない人でした。

雨漏りすれば、建物を修理するというよりは、雨漏りの場所にバケツを持って走るというようなことをしていました。

会社をよりよくしたいと思ったのは、従業員満足度を上げていきたいと思ったこと、世の中から求められている事をクリアしたい、と考えたところからでした。

食堂を改装し、ソファやテーブル、畳も全て入れかえました。新入社員も入ってきますし、休憩中の食堂はくつろげる環境にしたかったんです。

⸻ 社員の成長を感じられる内定式の時ですね。

当社は、毎年10月に内定式をします。

採用で苦労があるので、内定式の時には毎年泣いてしまいますね。また、先輩社員の司会に泣けてしまいますね。成長したなと思って。感情が一番出る時ですね。

内定式に挑む時は、「今日は泣かない!」と心で決めながら、号泣してます(笑)

⸻ ヨーロッパに行きたいです。

フランスとスペインに行きましたが、とても楽しかったです。

行くなら1週間位旅行に行きたいですね。

日頃は、仕事があってなかなか外に出づらいので、夜に飲みに行ったりするのが楽しみですね。

⸻どんどん活躍してください。

女性しか気づかない視点があると思います。

感性を大事にして、男性と女性と半々の社会に、どんどん進出していって活躍して欲しいな、と思います。

【インタビューを経て】

「1人じゃ何もできない。何事も成し遂げられない。やって貰ったことには感謝する。」

一つ一つの言葉に、芯の強さと優しさを感じる安達さん。ふと見せる笑顔が可愛く印象的で、ご家族との強い絆を感じました。そして、従業員の方への愛が、インタビューを通して伝わってきました。私自身も感謝の気持ちを胸に、「ありがとう」を伝えていけるように思わせて頂きました。これからも応援しています!

―会社情報―

中川食品株式会社

住所:福岡県北九州市小倉南区長野本町4丁目11番1号

電話番号:093-472-6631

HP: https://www.konnyakuya.com/

instagram:@nakagawa_konnyakuya

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