「NPO法人クックルー・ステップ」 代表 日髙利会子様・古賀裕子様
2006年NPO法人クックルー・ステップの立ち上げに尽力された古賀裕子様。
昨年、新しく理事長に就任された日髙利会子様。
お二人の出逢いのきっかけは、1人の男の子。
産まれながらに重度の障がいを持つ古賀さんの息子さんです。
個別的な関わりから、たくさんの人を巻き込み、輪を作っていく「新しい風」とは-
ミッションは、「みんなで支え合える社会の実現」
Q. お二人の出逢いはどんな経緯でしたか?
日髙さん⇒聾学校での教え子だった古賀さんの息子さんから繋がり、生徒の保護者として古賀さんと出会いました。
ここで働く前は、体育教師として学校で働いていました。23年間の教員生活の中で、高校と特別支援学校に勤務しました。
一人ひとりの個性を大切にする特別支援教育がとても好きでしたね。ただ、3人の子どもを育てながら仕事と家庭の両立は非常に忙しく、また教師の仕事も十分やったという達成感もあり、早期退職しました。
古賀さん⇒日髙さんを素晴らしい先生だと思っていました。生徒への思いやりがあり、一人ひとりに平等性がありました。
日髙さんは、一人ひとりが輝き、最大の力を発揮できるような授業をされておられました。
退職の話を聞いて、うちの法人でぜひ働いていただけないかと打診しました。
Q. 運営をしている上で大事にしていることは何ですか?
⸻ 職員とのコミュニケーションを大事にしています。
日髙さん⇒なるべく話しかけるようにして、時間を掛けてお互いのコミュニケーションを大事にしたいと思っています。コロナ禍は特にコミュニケーションが取りづらかったですが、話す機会をつくらないと、その方のことがわかりません。お互いのことを知れば、仕事でもやりやすいと考えています。私もなんでもオープンに話すことを心がけています。
この仕事は、強いチーム力が必要です。利用者さんから離れる時など、職員同士で連携を取って、利用者の方の安全を守らなければなりません。
学校では、毎日同じ生徒と同じ教員でチームワークも安定しますが、この仕事は利用者も職員も日によってかわります。そのような中で利用者も安心して楽しく過ごし、職員も楽しく仕事をしてほしい。そう思うと、日常のコミュニケーションはとても大切ですね。職員が楽しくないと利用者も楽しく過ごせないと私は思っています。
Q. 起業のきっかけを教えてください。
⸻ 障がい児の親がつくったクックルー通信を読んだことからです。
古賀さん⇒転勤族として、大阪から福岡に来て、南区の療育施設に、子どもが2歳の時からお世話になりました。
そこでの先輩ママとの出逢いから、クックルー通信を発行している障がい児の親に出会い、そこから、何かしようかと話している中で、障がい児の親で社会福祉法人の理事長でもある竹中ナミさんへ講演をお願いする企画を決めました。助成金を活用しながら、500人規模の講演会をすることにしたのです。
それぞれがいろんな方に我が子のことなどを話し、チケットを買っていただきました。一生懸命で、とにかく必死でした。
この勇気や元気をいただけた竹中ナミさんの講演会がきっかけとなり、法人化へ動き出しました。
子どもたちのケアだけでなく、母親として何かを求めていたんだと思います。
子どものために、自分が元気でいないといけません。
親が勇気を持って前に進む何かを欲していたんだと。
というのは、社会から取り残された感覚に近いように感じます。
自分が描いていた未来が閉されたと思いました。
「子どもと一緒に生きていく」
希望が欲しかったです。
Q. 起業への躊躇の気持ちは無かったですか?
⸻ 無かったです。
古賀さん⇒皆で法人を立ち上げ、新しい舟に乗ったような感覚でした。
日髙さん⇒8年位ここで働いていますが、まだ模索している中ではあります。
古賀さんが好きで、一緒に働いている人たちが好きです。
皆さん素晴らしい方ばかりなので、一緒に頑張りたいと思っています。
私は、障がいのある子の親ではないですが、何かできることがあるのではと思いました。
そんな私が理事長になることで、今まで作り上げてきたクックルー・ステップの強みを活かし、職員の皆さんとともにステップ・アップしていきたいです。
Q.運営をしていて苦しかった時はどんな時ですか?
⸻ 苦しい時もありましたが、続けることが大切だと思いました。
古賀さん⇒自分の子どもだけを愛しても幸せになれないと考え、理事長を引き受けていたので、
親も職員も幸せになって欲しかったですね。
Q. 今から起業をする女性の方へメッセージを頂けますか?
⸻ 心に持っている熱い思いがあるかどうかでしょうか。
家庭も仕事も大事に考えないと、どちらもおざなりには出来ません。
エネルギーを上げ続けるのが大事だと思います。
お金の計算は大切なことですが、それだけを考えては、スタートは出来ませんでした。
ふつふつと湧き上がる気持ちがあれば、他の人の助けがきっとあります。
困っている人がいる、その確信があれば、起業しても良いのではないでしょうか?
【インタビューを経て】
1年前からコミュニケーション研修で、講師としてご縁を頂いたクックルー・ステップさん。
「自分が救われたように、自分も誰かを助けたい」研修の時の職員の方々の言葉は、今も忘れられません。
居宅介護、移動支援、同行援護、放課後等デイサービス、相談支援、生活介護と多くの事業を通じて、子どもたちと保護者に関わられています。今年4月からは福岡市放課後等支援事業の委託も受けられています。
今までの大切なことを守りながら、新しい風を作っていく。
簡単ではないかもしれませんが、応援しております!
―法人情報―
「NPO法人クックルー・ステップ」
住所:福岡市中央区小笹1丁目14-2
電話番号:092-791―8006
FAX:092-791-8076